01.4.24放送

「一寸の虫」


Key Word : 身分の差




火盗改メの密偵仁三郎は、ある日鹿谷の伴助を見かけた。
伴助とは昔、船影の忠兵衛配下でおつとめをしていた仲だが、
仁三郎は押し込み先で女を犯し、
一方伴助は人を殺めたことで、
忠兵衛の下から追い出されていた。

仁三郎は、
この伴助を手がかりに伴助一味を捕らえようと探索に入るが、
その様子を火盗改メの同心・山崎庄五郎に見られる。

 黒い噂もある同心山崎と仁三郎の駆け引き。

 本格的盗賊・船影の忠兵衛の潔さ。

 盗人の義理・人情と平蔵の情け。

オーソドックスだが鬼平の世界満載の物語だ。
今の日本には存在しない身分制度。
旗本と密偵の間にある大きな壁が生んでしまった悲劇。

 「死ぬことはないだろう」

そう思った人は少なくないだろう。
平蔵が最後に述べた

 「あわれなようだが、当人はこれで救われたのであろう・・・」

という言葉も、なぜか釈然としないものがある。

しかし身分による差がはっきりしていたこの時代、
私たちには想像できない大きな隔たりを
平蔵の力をもってしても埋めることができないのかも知れない・・・
そんな気がした。
本放送では、同心山崎の登場はなく、
伴助が忠兵衛配下のつとめに仁三郎を誘い、
つとめの後に忠兵衛一味を殺害しようとする形でしたね。

平蔵にも忠兵衛にも義理を通し、
そのうえ命を張って自分の許せない伴助を仕留めた仁三郎、
本当にここで殺してしまうには惜しい・・・。


鬼平犯科帳,池波正太郎,文春文庫,第18巻,第4話

戻る