火盗改メの密偵仁三郎は、ある日鹿谷の伴助を見かけた。
伴助とは昔、船影の忠兵衛配下でおつとめをしていた仲だが、
仁三郎は押し込み先で女を犯し、
一方伴助は人を殺めたことで、
忠兵衛の下から追い出されていた。
仁三郎は、
この伴助を手がかりに伴助一味を捕らえようと探索に入るが、
その様子を火盗改メの同心・山崎庄五郎に見られる。
黒い噂もある同心山崎と仁三郎の駆け引き。
本格的盗賊・船影の忠兵衛の潔さ。
盗人の義理・人情と平蔵の情け。
オーソドックスだが鬼平の世界満載の物語だ。
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今の日本には存在しない身分制度。
旗本と密偵の間にある大きな壁が生んでしまった悲劇。
「死ぬことはないだろう」
そう思った人は少なくないだろう。
平蔵が最後に述べた
「あわれなようだが、当人はこれで救われたのであろう・・・」
という言葉も、なぜか釈然としないものがある。
しかし身分による差がはっきりしていたこの時代、
私たちには想像できない大きな隔たりを
平蔵の力をもってしても埋めることができないのかも知れない・・・
そんな気がした。
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本放送では、同心山崎の登場はなく、
伴助が忠兵衛配下のつとめに仁三郎を誘い、
つとめの後に忠兵衛一味を殺害しようとする形でしたね。
平蔵にも忠兵衛にも義理を通し、
そのうえ命を張って自分の許せない伴助を仕留めた仁三郎、
本当にここで殺してしまうには惜しい・・・。
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