07.4.6放送

「一本眉」

(鬼平犯科帳スペシャル)

Key Word : 一流の格


 一本眉こと清洲の甚五郎が狙いを定めた亀屋九右衛門方。ところが、長い年月を準備に費やし押し込みまであと3日とせまった夜に、その九右衛門方が急ぎばたらきの盗賊に押し込まれてしまう。

 甚五郎の引き込み女であるおみちは、ほうほうの体で逃げ出し、そして甚五郎に嘗役の存在を告げた。


 その嘗役である茂の市は、図面を売った倉淵の佐喜蔵が亀屋九右衛門方に押し込んだ後に所在のわからなくなった下女の存在を気にかける。生き残った奉公人の口から足がつき、自分がお上に捕まる危険も考えられた。

 長谷川平蔵も捜査の網をおみちに絞る。ところが、おみちはまったく名乗る気配がない。それもそのはず、盗賊の一味であるおみちがお上に名乗り出ることなどできないのだ。火盗改メの捜査は行き詰まった・・・。


 一本眉が経営している居酒屋「治郎八」。一方で倉淵の佐喜蔵の営む料理屋「岸屋万七」。いずれもお盗めをする上で必要な拠点だが、繁盛振りはどうだろうか。

 方や、ひっきりなしに客が訪れ、一日の疲れを吹き飛ばすほど活気あふれた店。そして、客はほとんど寄りつかず表戸が下りていることの多い店。

 芸を究め・・・いや、自身の技術・技量を高めて仕事をしていく人間は、どの世界でも一流になりうる素質を持っている。盗賊だろうと料理屋だろうと。

 そんな示唆に富んでるような気がするのですが、いかがでしょう?


 さて。どうやら、今回のスペシャルは「一本眉」に「墨つぼの孫八」を取り混ぜた話になるようですね。一本眉と呑み交わすのは木村忠吾であるからこそ「一本眉」という作品の味が出るのではないでしょうか。個人的にはこの組み合わせは残念に思います。


 「墨つぼの孫八」といえば、産まれた子供のために最後のお盗めを画策する孫八を、こともあろうか平蔵・五郎蔵・おまさという火盗改メのエース(?)3人で手伝ってしまおうという話です。

 このお盗めは押し込み直前の孫八の急死という形で幕を引いてしまうのですが、そのまま押し込んで、3人の手際の良さを見てみたいと思う人は・・・俺だけではないはず・・・(笑)




「一本眉」,鬼平犯科帳,池波正太郎,文春文庫,第13巻,第6話
「墨つぼの孫八」,鬼平犯科帳,池波正太郎,文春文庫,第13巻,第4話

戻る