97.7.9放送

「逃げた妻」


Key Word : 男と女の関係




今回は浪人、藤田彦七を中心としたお話。


料理屋治郎八にて木村忠吾は、浪人藤田彦七から相談を受ける。

昔、自分と娘を捨て逃げた前妻おりつから、「つれてにげて。」という手紙が彦七に届いたのだ。
しかしながら彦七には既に後妻おみねがおり、娘も良くなついている。

彦七自身はまだ、おりつに未練たらたら。
さてさて。


長谷川平蔵がいつものように浪人姿で巡回していると、
以前火盗改メの包囲を破り逃走した、入間の又吉を発見する。

尾行をし、行き先を突き止めると、そこにはおりつがいた。


男と女の関係。
解読不能。摩訶不思議。一寸先は闇。
今までも、これからも。

エッチのうまい男に、女房を寝取られるって話だから、
ちょっとドッキリする人もいますね、たぶん。


なおこの話の中心となる煮売り酒屋の「治郎八」は、実は盗賊、清洲の甚五郎の盗人宿である。

もちろん木村忠吾はそんなことはつゆ知らずひいきにしており、
逆に店の亭主、馬返しの吉之助も、頭の甚五郎も、
忠吾は気のよい浪人、木村忠太郎だと思って勘定そっちのけで飲ませ食わせしている。

忠吾は妻おたかを迎え、独身の頃の気楽さも小遣いもなくなり、苦労をしている。
更に平蔵は最近、若い同心の細川峯太郎をかわいがり、
平蔵のお供をすることでありつけていた酒、食事にも誘われない。

そこで金がなくても飲ませてもらえる「治郎八」にやってきて、事件のきっかけを得たのだった。


だから実は、偶然偶然。


鬼平犯科帳,池波正太郎,文春文庫,第19巻,第4話
戻る