97.7.16放送

「見張りの見張り」


Key Word : 親バカ




大滝の五郎蔵、おまさ夫婦の義父として、
煙草屋を営みながら火盗改メの役目に就いている舟形の宗平のもとに、
昔の盗賊仲間、長久保の佐助が偶然現れた。
佐助は息子佐太郎の敵、杉谷の虎吉を討ちに江戸に来たらしい。

宗平はこの煙草屋は五郎蔵の盗人宿だとウソをつくが、
これを聞いた佐助は必要以上に驚く。
実は虎吉は、かつて五郎蔵の配下であった。

次の日五郎蔵は、事情を知るため虎吉を訪ねるが、佐助はそれを尾行する。


ところが別件で役目を持った密偵、伊三次が一部始終を目撃、
捜査は長谷川平蔵と五郎蔵、2人別々で行われる複雑なものとなる。




もとはと言えば、佐助が橋本の万造の言うことをそのまま鵜呑みにしたのが
事の始まり。

自分の倅が自身の力不足から、女を争って殺されようと
さらに盗賊として、一流の腕と頭を持っている佐助であっても
無条件にウソに踊らされ、相手を恨んでしまうほど

親は子の為には、誰でも盲目になってしまうものなのだろうか。



ところで、たとえ密偵になったとしても
やはり火盗改メに捕まえさせたくない人はいるもので、
五郎蔵も宗平も、平蔵に対してすべてを話したわけではない。
(今回もそれが話をこじらす原因なのだが)
しかし平蔵はそれを許し、その上で強い信頼関係が成り立っている。

これが密偵を引きつける、平蔵さんの懐の深さなんでしょうか。
すごいと思う。


鬼平犯科帳,池波正太郎,文春文庫,第12巻,第3話

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