98.6.3放送

「影法師」


Key Word : 勘違い




盗賊改メきっての女ったらし、木村忠吾ことうさぎも、遂に年貢を納めることとなった。婚礼後ではさすがに女遊びという訳にもいかず、うさぎは遊び納めを試みることとなった。

さて、品川宿の遊女屋、巴屋に向かう途中でうさぎを見た盗賊塩井戸の捨八は、うさぎのことを盗賊のさむらい松五郎こと網掛けの松五郎と見間違う。
昔の盗めで松五郎にしてやられたことのある捨八は、一泡吹かせてやろうと松五郎(=うさぎ)の尾行を開始する。
鬼平に登場する盗賊の中には、意外におっちょこちょいが多い。今回もそんな勘違いが騒動を巻き起こすことになるのである。

人間らしい生き生きとした世界を描く上で、必要不可欠な一要素。時々彼らの中に自分がいるような気がして、面白いのだが複雑な気分。


しかし盗賊改メに捕らえられ牢に入れられる寸前に、本物の松五郎を見せられた捨八たちの気持ち・・・。(笑)
やはり長谷川平蔵は意地悪である。
ところでうさぎがさむらい松五郎と勘違いされるのは2度目で、1度目は「さむらい松五郎」という話、14巻に収められている。うさぎが初めて盗賊のお頭を演じることになるのだが、これもなかなか笑えるので、是非ご一読を。


鬼平犯科帳,池波正太郎,文春文庫,第16巻,第1話

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