大阪に本拠を持つ白子の菊右衛門は、江戸の盗賊、荒神のお豊と手を組みお盗めを画策し、手はじめに狐火の勇五郎を送り込む。(実際は荒神一家乗っ取りを企てるのだが)
ところが、密偵のおまさが先代勇五郎の右腕である瀬戸川の源助を見つけ、事は思わぬ方向に発展、長谷川平蔵は狐火一家の内紛に乗じて事を収めた。
企みが失敗に終わった菊右衛門は、配下を率い江戸へ東上するがこれまた不発。遂にお豊が直接指揮を執り、鬼平に刃を向ける事になった。
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自分がお役目のために働くには、引き込み女として集中しなければならないおまさ。
一方で、荒神のお夏に魅力を感じ、女賊としてのめり込む自分を必死に抑えるおまさ。
女賊と密偵の狭間で揺れる心を感じながら読んでいると、非常に面白い。
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さて、お豊は原作では、荒神のお夏という。
鬼平最終巻となった「誘拐」でも登場し、おまさを人質にとるが顔を見せずに終わった盗賊の首領。炎の色では逃走し、火盗改メに捕まらなかった唯一の人間である。
また炎の色では、平蔵の腹違いの妹であるお園と切れ者同心小柳安五郎がめでたく結ばれる事も付け加えておく。
ちなみに、お豊で思い出すのは京の盗賊の一味。平蔵が新婚で久栄が身重の頃に、京で仲良ししていた女で、うさぎこと木村忠吾も彼女に遊ばれている。
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