98.3.4放送

「血頭の丹兵衛」


Key Word : プロ




さて、鬼平のTV放送が帰ってきましたね。
傑作選ということは、放送期間が短いんだろう。残念。

今回は古参の密偵小房の粂八が、平蔵に心服し密偵になった時の話。


粂八が若い頃三ヶ条の掟を破り、押し込み先で女を犯したのを咎め
破門にまでした盗賊、血頭の丹兵衛。
その尊敬する師の仕事とは思えない一連の押し込みと殺戮。
偽物の丹兵衛の行為と見た粂八は、丹兵衛の汚名を晴らすべく
密偵=狗となることを決意する。

しかし粂八は丹兵衛との再会を、喜びではなく落胆で迎えることになる。
すっかり変わってしまった丹兵衛。


プロ意識。

盗賊という、いわば悪の中にも存在するこのプロ意識を忘れて
欲に走った丹兵衛と、隠居してまでその意識を持ち続けている
喜之助。


プロとは何か、プロの誇りとは何なのか。
何事を行うにも必ず必要で最も大切な心構えを、人は一生持ち
続けていけるのか。

ここが勝負の分かれ目なのかも。


こういう話で「偽物でした」「息子でした」という結末が多い中で、
大盗賊の本人が変貌というパターンは珍しいのかな。
鬼平が固まっていない、初期ならではの作品。


ところで私のお気に入りの忠吾さんは、まだ出てこないはずなんだけれど・・・。
TV放送だとどうなるんだろう。
そう言えば佐嶋さんを使わなくなってずいぶんたちましたね。
少し寂しい。


鬼平犯科帳,池波正太郎,文春文庫,第1巻,第3話

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